会社から「保険料控除申告書」が配られて、去年の控えを見ながら書こうとしていませんか。令和8年分(2026年分)の保険料控除申告書は、書類の形が変わっています。とくに、23歳未満の子どもなどを養っている人は、新しく増えた欄に書かないと、控除が少なくなってしまいます。
この記事では、税理士事務所で10年ほど働いている「ものぐさあざらし」が、保険料控除申告書の書きかたを欄ごとに解説します。書類と控除証明書(はがき)を横に置いて、上から順番に読み進めてください。
保険料控除申告書は「自分で払ったもの」を書く書類です
保険料控除申告書には、大きく4つの欄があります。払っていないものの欄は、空欄のままで大丈夫です。
| 欄 | 書くもの | 書かなくていいもの |
|---|---|---|
| 生命保険料控除 | 生命保険・医療保険・個人年金保険など、自分で払った保険料 | 受取人が家族以外になっている契約など |
| 地震保険料控除 | 自宅や家財の地震保険料 | 火災保険だけの部分 |
| 社会保険料控除 | 自分で払った国民年金・国民健康保険など(家族の分を払った場合も含む) | お給料から引かれている健康保険・厚生年金・雇用保険 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 自分の口座から払っているイデコの掛金など | お給料から引かれているイデコ・企業型DCの掛金 |
お給料から引かれているものは、会社がすでに金額を把握しているので書く必要はありません。「自分で払ったものだけ書く」と覚えておくと、迷う欄がぐっと減ります。
生命保険料控除の書きかた
はがきの「申告額」を写します
保険会社から届く「生命保険料控除証明書」には、金額が2つ書かれていることが多いです。
- 証明額:証明書を作った時点(おもに9月まで)に実際に払った金額
- 申告額:12月まで払い続けた場合の、1年分の見込みの金額
年末調整では、通常は「申告額」のほうを書きます。証明額を写してしまい、10〜12月分の保険料が控除から漏れている、という書き間違いは、実務でも毎年よく見かけます。
なお、最近は保険会社のマイページから電子データで受け取る形も増えています。はがきが届かない場合は、マイページも確認してみてください。
区分ごとに分けて書きます
証明書には、保険の区分が書かれています。この区分のとおりに、決まった欄へ写してください。新生命保険料を旧生命保険料に含めるなど、別の区分に振り替えることはできません。
| 区分 | 新・旧の分かれ目 |
|---|---|
| 一般の生命保険料 | 平成24年1月1日以後の契約は「新」、平成23年12月31日以前の契約は「旧」 |
| 介護医療保険料 | 新のみ(平成24年1月1日以後の契約) |
| 個人年金保険料 | 平成24年1月1日以後の契約は「新」、それ以前は「旧」 |
控除額の計算式
新しい契約(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)は計算式Ⅰ、古い契約(旧生命保険料・旧個人年金保険料)は計算式Ⅲを使います。
| 計算式Ⅰ(新契約)支払った保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払った全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 支払額 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 支払額 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円 |
| 計算式Ⅲ(旧契約)支払った保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払った全額 |
| 25,001円〜50,000円 | 支払額 × 1/2 + 12,500円 |
| 50,001円〜100,000円 | 支払額 × 1/4 + 25,000円 |
| 100,001円以上 | 一律 50,000円 |
一般・介護医療・個人年金の3つの控除額を合計した金額が、生命保険料控除の額です。合計の上限は12万円です。1円未満の端数は切り上げます。
令和8年分から増えた「23歳未満の扶養親族」の欄
令和8年分と令和9年分に限り、年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、一般の生命保険料(新契約)の控除の上限が4万円から6万円に引き上げられます。これにあわせて、保険料控除申告書に「年齢23歳未満の扶養親族の有無」を選ぶ欄と、その家族の情報を書く欄が新しく設けられました。
対象になる人
- 一般の生命保険料のうち、新契約(平成24年1月1日以後の契約)の保険料を払っている
- 12月31日時点で23歳未満の扶養親族(配偶者は除く)がいる。平成16年1月2日以後に生まれた人が目安です
- 扶養親族は、生計を一にしていて、令和8年分の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)の家族です。16歳未満の子どもも含まれます
書くこと
「年齢23歳未満の扶養親族の有無」の欄で「有」に丸をつけ、その家族の氏名・個人番号・生年月日・続柄・本年中の合計所得金額の見積額を書きます。そのうえで、新生命保険料の控除額は、計算式Ⅰの代わりに計算式Ⅱで計算します。介護医療保険料と個人年金保険料は、これまでどおり計算式Ⅰのままです。
| 計算式Ⅱ(特例)支払った保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 30,000円以下 | 支払った全額 |
| 30,001円〜60,000円 | 支払額 × 1/2 + 15,000円 |
| 60,001円〜120,000円 | 支払額 × 1/4 + 30,000円 |
| 120,001円以上 | 一律 60,000円 |
新契約と旧契約の両方があるとき
一般の生命保険料で新契約と旧契約の両方がある場合、それぞれの控除額を合計できます。合計の上限は通常4万円ですが、この特例を使う場合は6万円になります。旧契約だけで計算した場合の上限は、これまでどおり5万円です。
子どもが1人でも、夫婦の両方が使えます
国税庁の「年末調整のしかた」では、同じ世帯の夫婦の間に23歳未満の扶養親族である子どもが1人いる場合、夫婦の両方がこの特例を受けられると説明されています。扶養控除のように「どちらか1人だけ」ではないので、共働きの夫婦はそれぞれの保険料控除申告書で「有」を選びましょう。
どれくらい税金が変わるのか
一般の生命保険(新契約)を1年に12万円払っている人で比べると、次のようになります。
| 所得税の税率 | 通常の控除額 | 特例の控除額 | 所得税が安くなる目安 |
|---|---|---|---|
| 5% | 40,000円 | 60,000円 | 約1,000円 |
| 10% | 40,000円 | 60,000円 | 約2,000円 |
| 20% | 40,000円 | 60,000円 | 約4,000円 |
※前提:一般の生命保険料(新契約)の年間支払額12万円、ほかの区分の保険料はなし、増える控除額2万円に所得税率をかけた概算。復興特別所得税は含めていません。この特例は所得税だけが対象で、住民税の生命保険料控除は変わりません。
地震保険料控除の書きかた
自分や生計を一にする家族が住んでいる家、生活に必要な家財にかけた地震保険料を、証明書の金額どおりに書きます。控除額は、払った地震保険料の全額で、上限は5万円です。証明書は金額にかかわらず添付が必要です。
平成18年12月31日までに結んだ、満期返戻金のある長期の損害保険(旧長期損害保険)は、別の計算式で最高1万5千円まで控除できます。該当する人は証明書の区分を確認してください。
社会保険料控除の書きかた
この欄に書くのは、国民年金や国民健康保険など、自分で直接払った社会保険料です。家族の分を自分が払った場合も、自分の控除として書けます。
転職した人は「すき間の期間」に注意
前の会社を退職してから次の会社に入るまでのあいだに、国民年金や国民健康保険を自分で払った人は、その金額をこの欄に書きます。新しい会社は、すき間の期間に払った保険料を知りようがないので、書かないと控除されません。実務でも、書き忘れてあとから確定申告をする人をよく見かけます。
一方、前の会社のお給料から引かれていた社会保険料は、書く必要はありません。前の会社の源泉徴収票を今の会社に出せば、会社がまとめて集計します。
国民年金の控除証明書が届く時期
国民年金保険料は、金額にかかわらず証明書(または領収書)の添付が必要です。国民健康保険料には証明書の添付は必要ありません。日本年金機構の令和8年分の送付予定は次のとおりです。
| 納付した時期 | 電子データ | はがき(郵送) |
|---|---|---|
| 令和8年1月1日〜9月30日に納付 | 令和8年10月中旬〜下旬に順次 | 令和8年10月下旬〜11月上旬に順次 |
| 令和8年10月1日〜12月31日に初めて納付 | 令和9年1月下旬から順次 | 令和9年2月上旬 |
10月以降に初めて国民年金を払った人は、年末調整までに証明書が届きません。領収書で対応できるか会社に確認するか、確定申告で控除を受けましょう。
小規模企業共済等掛金控除(イデコ)の書きかた
イデコ(個人型確定拠出年金)の掛金を、自分の口座から引き落としで払っている人は、この欄に1年分の掛金を書き、証明書を添付します。会社のお給料から引かれている人は、会社が把握しているので書く必要はありません。小規模企業共済や、自治体の心身障害者扶養共済の掛金も、この欄に書きます。
証明書が見つからないとき
まずは保険会社などに再発行を依頼しましょう。再発行を請求中で証明書が手元にない場合でも、翌年1月末日までに提出することを条件に、控除を入れて年末調整をしてよいことになっています。会社の担当者に相談してみてください。年末調整に間に合わなかった場合は、確定申告で控除を受けることもできます。
まとめ
- 書くのは「自分で払ったもの」だけ。お給料から引かれているものは書きません
- 生命保険は、はがきの「申告額」を、区分どおりの欄に写します
- 23歳未満の扶養親族がいる人は、今年の新しい欄で「有」を選びます。夫婦の両方が使えます
- 転職した人は、すき間の期間に自分で払った国民年金・国民健康保険を書き忘れないようにしましょう
動画では、ずんだもんと一緒に、書類を見ながら順番に解説しています。あわせてご覧ください。
参考資料
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」
- 国税庁「保険料控除申告書の受理と内容の確認」(年末調整のしかた)
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 日本年金機構
※この記事は2026年10月時点の情報(令和8年分の年末調整)にもとづいています。正確な情報の提供に努めていますが、実際の手続きは勤務先の担当者、管轄の税務署または税理士にご確認ください。

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