相続税の基礎控除とは?計算式と人数別早見表、注意点をわかりやすく解説

資産形成

「うちはお金持ちじゃないから、相続税なんて関係ない」――そう思っていませんか。もしくは逆に、「うちは相続税がかかるかもしれない…」と漠然と不安を感じていませんか。どちらにせよ、その判断のよりどころになるのが「基礎控除」という考え方です。

この記事では、相続税の基礎控除のしくみと計算方法を、初心者の方でもわかるようにやさしく解説します。計算式はたった1行。ご自身の家庭が相続税の対象かどうか、読み終わるころには判定できるようになります。

相続税がかかる人は思ったより少ない

まずは少し安心できる話から。国税庁の統計によると、2024年に相続税の課税対象となった被相続人(亡くなった方)は、死亡者全体の約10.4パーセントでした。つまり、亡くなった方の約10人に1人だけが対象ということです。

ただし、これは以前よりも増えています。2015年に相続税の基礎控除が大幅に引き下げられた結果、課税割合はそれ以前の4パーセント台から倍以上に増えました。特に都市部で不動産を持つご家庭は、以前よりも注意が必要です。

基礎控除とは「ここまではかからない」ボーダーライン

相続税の基礎控除とは、「遺産の合計額がこの金額以下であれば、相続税はかかりません」という、国が定めたボーダーラインのことです。遺産の合計がボーダーを超えれば申告・納税が必要になり、超えなければ原則として相続税はゼロ、申告も不要です。

そしてこのボーダーは、家族の人数によって変わります。

基礎控除の計算式は1行だけ

計算式はこれだけです。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人とは、民法で定められた相続人のこと。配偶者は常に法定相続人となり、そのほかは子ども(第1順位)・親(第2順位)・兄弟姉妹(第3順位)の順で決まります(くわしくは相続人の順位に関する記事をご覧ください)。

人数別の基礎控除早見表

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

たとえば、配偶者と子ども2人の3人家族であれば、基礎控除額は4,800万円。遺産の合計がこれを下回れば、相続税はかかりません。

「遺産の合計」に含まれるもの

ここでいう遺産の合計(正味の遺産額)には、現金・預貯金・不動産・株式や投資信託・生命保険金の一部など、プラスの財産がすべて含まれます。一方で、借入金などの債務や葬儀費用は差し引くことができます。

なお、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」という別の非課税枠が設けられており、この枠内の金額は遺産の合計に加算されません。生命保険を活用した相続対策については、別の記事でくわしく解説しています。

知らないと損する3つの注意点

養子は人数に制限がある

養子も法定相続人として基礎控除の計算に含めることができますが、人数には上限があります。実の子どもがいる場合は養子1人まで、実の子どもがいない場合でも養子は2人までしか人数に加えられません。節税目的で養子を多数迎えても、基礎控除が無制限に増えるわけではない点に注意しましょう。

相続放棄しても基礎控除の人数は変わらない

「相続を放棄したら法定相続人の数が減って、基礎控除も減るのでは?」と心配される方がいますが、これは誤解です。相続放棄をした方がいても、基礎控除を計算するときの法定相続人の数は、放棄がなかった場合の人数をそのまま使います。相続放棄によって基礎控除が減ることはありません。

「税金ゼロ」でも申告が必要なケースがある

遺産の合計が基礎控除以下であれば、原則として申告は不要です。ただし、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、税額をさらに減らせる特例を適用した結果として相続税がゼロになった場合は、ゼロであっても申告が必要です。

「もともとゼロ(基礎控除以下)」と「特例を使ってゼロ」は扱いが異なります。特例の利用を検討している場合は、申告が必要かどうかも含めて、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

まとめ:計算式1本で、まず自分の家庭の場合を判定しよう

相続税の基礎控除についてのポイントをまとめます。

  • 基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
  • 遺産の合計がこれ以下なら、相続税はかからず申告も原則不要
  • 養子は基礎控除の計算で人数に上限あり(実子あり→1人、実子なし→2人まで)
  • 相続放棄しても基礎控除の計算に使う人数は変わらない
  • 特例を使ってゼロになった場合は申告が必要

まずはご自身の家庭の基礎控除額を計算してみてください。「かかるのかかからないのか」がはっきりするだけで、不安がずいぶん和らぎます。なお、実際の相続は個別の事情により結論が変わることがあります。具体的な手続きや税額については、お住まいの地域の税務署や税理士など専門家にご相談ください。

当ブログ「ものぐさあざらし」では、お金・税金・節約の話を初心者向けにやさしく解説しています。ほかの記事ものぞいてみてくださいね。

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